「音楽の演奏」を眺めて
自由学園高等科 髙田貴
私は、1月15日の第2回プレゼンピックの余興として、東京成徳の塚田先生と一緒に音楽の生演奏をしました。音楽は、小さい時から大変好きで、今も自分のライフワークの一つとして行っています。このコラムではプレゼンテーションという観点から「音楽の演奏」を眺めてみたいと思います。
プレゼンピックに参加した皆さんが作ったプレゼンテーションと、ピアノ伴奏の歌を比べると、人の前に立って何かをする、ということは同じです。
その一方で、特にクラシックの音楽を演奏する時は、楽譜が決められていて、そのとおりに演奏するのが基本になります。O Sole Mioを演奏する場合も、前奏、それから、伸ばすところ、ゆっくりにするところ、強弱、終わり方など、大体一般的なパターンがあります。歌詞も音の動きも同じです。プレゼンテーションと比べたら、発表する言葉はもちろんのこと音の上下、発表の仕方、発表時間、全てがほとんど決められている、といってもよいでしょう。
ところが、皆さんがカラオケなどで歌うときと同じで、人が違えば、演奏は全て異なってきます。また、聴衆は、演奏者のちょっとした顔や音の表情の変化を楽しみます。その変化はパワーポイントの画面の変化に比べたらはるかに小さいものですが、その中に、演奏者の実力、音楽への解釈、楽しみ具合などが本当によく現れてきます。
楽譜が決められている、立つ場所も決められている、長さも決められている、といった状況下にあってもなお、表現の自由は無限にあります。そして、演奏者は、聴衆と一緒に楽しい時を共有できたらよい、と思いながら、一度出したら決して訂正することはできない音を出していくのです。